2019年07月16日

ジャコウアゲハの故郷へ

 生息地から回収していた卵がほとんど孵化したため、現地へと戻しに行く。チガヤなどを片っ端から根こそぎ引き抜いて目立つようになった土手下平坦部のウマノスズクサへと大半をもどし、残りは土手上の県道沿い1m幅の領域に生えるウマノスズクサまわりに戻す。
 ついでに土手斜面に幼虫と蛹の見落とし分を探すと、終令幼虫と蛹化して間もない個体も含めて蛹が複数みつかる。
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越冬時に蛹が多くみられるアキニレまわりを調べると、ここでも蛹や前蛹が次々とみつかる。樹高2mほどの位置に蛹化した個体もいて、ここは越冬時だけの利用ではないことがわかる。
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今年の調査で分かったことは、終令幼虫は蛹化に際して、薄暗い環境を求めて移動する習性があるということ。緑濃い葉っぱが多いアキニレは最も好ましく、次いで茎の太いヨモギが群生しているところ。というわけで、今回回収できた前蛹と蛹はすべてアキニレの根元の影が多い部分に、羽化時の空間がとれるように静置した。なお、このアキニレのすぐそばの県道沿いに、とても目立つ形で前蛹化した個体もいて、
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尾端の固定糸が外れて車が通るたびに風圧を受けて揺れているが、そのままにしておく。筆者がこの土手周りで調査をしている際、成虫がいる時期であれば必ずどこからかジャコウアゲハがやってくるのだが、今日も後翅が相当に傷んだメスが産卵場所を探しながら近づいてくる。
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その習性として、目立ちにくい隠れた場所にあるウマノスズクサへの産卵にこだわっているようで、わざわざ草陰の中へと潜り込んでいく。8月上旬の国土交通省の除草作業で犠牲になるような場所を今一度再調査する必要があるな、と産卵行動をみやりながら撤収。
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2019年07月14日

ハチ高原に遠征

ハチ高原で開催される「チョウ観察会」に参加。前日に日本チョウ類保全協会の会誌「チョウが舞う自然」28号が届いていて、ウスイロヒョウモンモドキの苦戦する保全活動と、ウスイロヒョウモンモドキの飼育下繁殖の限界という2つの記事を熟読し、このままではハチ高原のウスイロヒョウモンモドキは絶滅するとの危機感を抱く。
 昨日に降った雨で草原一帯にはまるで花を咲かせているように雨露が残る草がキラキラと光って見える。
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鹿よけ柵を設けた草地は4か所あって、本日はその中の3か所に立ち入っての観察となる。最初に踏み込んだ草地で、前日の草刈りとチョウの事前調査をしてくれた兵庫県県民局スタッフの男性が、ウスイロヒョウモンモドキを見つけて知らせてくれる。雨上がりであたりの草葉はまだしっぽりと濡れており、草原に踏み込むとズボンがずぶぬれになるが、ゆるくはない斜面をチョウがいるところまで急ぎ降りていくと、比較的きれいな個体がススキの葉陰に潜り込んだ後、翅の開閉を繰り返しながらゆっくりと茎を伝い歩いてくるのが見える。
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やがて落ち着いて翅を広げてとまるウスイロヒョウモンモドキの撮影記録をとる。
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天候が不順でいつ雨が落ちてくるかわからない状況で、しっかりと撮影できる個体がいてくれたことは、はるばるやってきた甲斐があったというもの。この個体は大勢の撮影者に困惑したのか、
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やがて緩やかな飛翔で数メートル離れたススキの葉上にとまる。この場所では翅を閉じたままで長くとどまり、背景がいくらかぬけた撮影記録がとれる。
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 次の囲い草地ではOさんが翅を閉じて静止したままのウスイロヒョウモンモドキをみつけて、撮影希望者にここにいるよ、と教えてあげている。筆者も2頭目の記録を撮らせてもらう。
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 次の草地へと移動する過程でウラギンヒョウモンが飛んできて休み始めたのをTさんが教えてくれる。
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大型なのでメスだと思われる。3番目の草地では雨露が残るアザミの花で盛んに吸蜜をするウラギンヒョウモンが目に入り、その様子をビデオ撮影する。盛んに動くストローにまで雨露がついたりしているのは雨上がりという条件で初めてみられる光景で、なかなかいい記録となっている。
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他にはコキマダラセセリをみた人がいただけで、やがて雨が落ちてきたなか山をおりる。「チョウが舞う自然」の記述にある広島の生息地2か所が絶滅した理由として、近親交配による生職能の低下が大きいように思われ、ハチ高原でも他地域との交雑を考えないと、今のままでは絶滅してしまうことを、現地でますます確信することとなった。
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2019年07月12日

ゴマダラチョウの個体差がありすぎる

 ゴマダラチョウの母チョウが産卵したのが6月2日で一週間後の9日に孵化が始まり、この日に説明がつかない3令の幼虫がいて、それは25日後に羽化した。9日の孵化から23日後、最初に前蛹化をした個体は1日で蛹となって1週間後の7月10日に羽化したが、産卵からは31日を要している。他の個体も順調に成育しているがバラツキが大きく、2個体目が本日羽化し、終令幼虫も次々と蛹化していく中で、
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まだ3令になったばかりの幼虫(体長15mm。終令幼虫では30mmを超える)が2個体いるのが解せない。
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産卵されたすべてが9日に孵化したわけではなく、1週間以上経っても孵化しない卵も複数みており、それらの中から遅れて孵化した個体だと見るよりほかなく、この個体差の大きさには首をかしげてしまう。
posted by クジャクチョウ at 23:00| Comment(0) | 日記