2016年10月31日

和歌山に遠征

 和歌山の秋のチョウとの出会いを求めて遠征。一番の目的はサツマシジミの母蝶を捕獲して採卵することで、次にヤクシマルリシジミの母蝶捕獲・採卵。2014年の11月初旬に多くのサツマシジミと出会えたが、結論から言うと今年(2016年)はサツマシジミとの出会いはなく、ヤクシマルリシジミの母蝶1個体をかろうじて捕獲できたのが救いで、あと、思いがけないチョウとの出会いが待っていた。初日の朝早くに訪れた田辺市の天神崎は、ノイバラが多かったブッシュが完全に切り開かれ、明るくなった草地を飛び交うのは無数のヤマトシジミとウラナミシジミ。青鱗粉の発達したメスを探して追いかけまわし、やっと望み通りの開翅姿勢をとってくれる個体に出会えて撮影記録をとる。
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アメリカセンダングサの花蜜を求めるウラナミシジミのなかで、新鮮な個体は♀だけ。
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ヤクシマルリシジミもいないので、ウバメガシの新芽を集中的に調べると、幸いにもヤクシマルリシジミの幼虫がみつかる。
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草地に目をもどすとベニシジミもいる。
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ツマグロヒョウモンも複数個体をみるが、センダングサの密生する部分で花蜜に夢中なのはオスだけで、メスは産卵場所をさがしているのか草地の低い位置を飛び回っている。
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妻が暇任せに日和山へと入り込んだ際に足元から飛び出したチョウがいたようで「このあたりにコノハチョウはいる?」と聞いてくるので、クロコノマがいたのだなとわかり、確認しに暗い樹林の林床へと踏み込むと、いきなり2・3頭のクロコノマチョウが飛ぶ。そのなかの1個体の飛翔を追うと、すぐに林床に静止するが、よく見定めてから近づかないと静止位置を見失ってしまう。
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海岸部分へともどろうと登山道を下りきる段階で、目の前にブルーの濃いシジミチョウが飛来するので、素早くネットインするとヤクシマルリシジミの母蝶だ。すぐに準備してきたプラスティック容器に移し、ウバメガシの新葉を切り取って添えておく。再び海岸道路沿いを歩くうち、水生昆虫を子供たちに紹介するために調査に来たという男性に出会い立ち話。そこでクロマダラソテツシジミが発生している場所があるよ、と教えてくれる。この場所から遠くないことがわかり、すぐに行ってみてビックリ。3か所にある大きなソテツのいずれものまわりに、遠くからだとヤマトシジミが群れ飛んでいるようにしか見えないチョウが乱舞状態。すべてクロマダラソテツシジミで、交尾ペアもあちこちにみられる。
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新芽がのびる部分をよくみると幼虫の姿も見られ、
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撮影は大きめの幼虫がいる部分だけの記録だが、全体的には若齢幼虫がうじゃうじゃと数え切れない。ソテツのある場所の関係者に断りを入れ、インゲンマメを代用食とする飼育目的で、幼虫がつく新芽を3本だけハサミで切り取らせてもらう。
 翌日、10月28日は串本方面へと向かう予定だったのが午後から雨だとの天気予報で、今一度天神崎を訪問することに。日和山に登ってサツマ、ヤクルリが梢部分にいないかと期待するが、いたのはハギの花周りを飛び回るウラナミシジミだけ。海岸道路へともどると、散策をしていた妻がセンダングサにアサギマダラがいるが、マーキングはされていないみたいだと教えてくれる。
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あらためてウバメガシの新芽まわりを点検して、ヤクシマルリシジミの幼虫を発見。
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センダングサにはキタテハもやってきている。
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ヤマトシジミでもウラナミシジミでもないシジミチョウの飛翔が目に入り、追ってみるとクロマダラソテツシジミの新鮮メス個体だ。
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やがて予報通りに雨が落ちてきて、午後は串本を素通りして那智勝浦の温泉ホテルへと直行。ヤクシマルリシジミの母蝶は、期待通りにウバメガシに複数産卵をしてくれている。
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和歌山チョウ探索の最終日:10月29日は朝から好天気。例年通うポイントへと行ってみたものの、サツマシジミもヤクシマルリシジミも全くその姿はみられなく、アザミで吸蜜するアサギマダラを海を背景に撮影する以外に楽しみはなし。
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ここでは、まだ固い花つぼみが多くつくハマヒサカキのあちこちに小さな袋掛けがみられ「調査中です。ご協力をお願いします。」と書かれた札がぶら下げてある。地元の愛好家がサツマシジミの産卵された部分を保護観察中だとわかるが、その周辺を調べても新たな産卵を見つけることはできず。この海岸では、Facebook友のTさんご夫妻とお会いできたり、岡山からみえた親子お二人とも立ち話で「サツマはいないね」と慰めあう。もう帰路に就こうと決め、ヤクシマルリシジミに蜜源としてノギクをいれてやろうと容器を開いたそのとき、母蝶がヒラヒラと飛び逃げてしまう大アクシデント。がっかりしても後の祭りで、仕方なく、近くの草地を歩いてあらたな母蝶との出会いを期待するがそうは簡単にことは運ぶはずもなく、5個の産卵をしてくれただけでも感謝しなくてはと腹をくくる。ところが、車へともどる最後のセンダングサが茂るコーナーにヤクルリらしき飛翔が目に入る。近づいてよくみればまぎれもないヤクルリのメスだ。
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さきほど逃げた個体かどうかは分からないが、おいしそうにセンダングサの花蜜を吸うそのメス個体を容赦なくネットインさせていただき、先ほどの容器へと入ってもらおうと車にもどる途上、新たな愛好家がネットを広げて歩いてくる。なんととても親しい蝶友のKさんだ。久しぶりの再会をお互い喜び、当方からはクロマダラソテツシジミの幼虫を分けてあげ、Kさんからは採取されていた蛹をいただいて帰路につく。






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2016年10月22日

クロアゲハ Papilio protenor demetrius の幼虫

 野外からカラスザンショウを採取してきて、ミヤマカラスアゲハアの飼育用に利用してきた過程で、いつのまにか、すぐには種の同定に自信が持てない若齢幼虫が紛れ込んでいて、その成長を注視してきた。
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カラスザンショウのきれいではない大きな硬い葉っぱに対してあまり摂食意欲がみられなく、幼木の葉っぱなら食べることがわかり、鉢植えとして根付いた野外採取の幼木へと移しておいた。
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やがて体長30mmほどに成長してきて、ようやく明確にクロアゲハの幼虫だとわかる特徴:尾端と背面中央部の白い模様がはっきりしてきた。慣れた人なら、早い段階から判別できたと思われるが、2014年にミヤマカラスアゲハ、カラスアゲハ、オナガアゲハ、とともにクロアゲハも複数頭を飼育しているにもかかわらず、若齢段階での判別には自信が持てない。
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これで、カラスザンショウの葉っぱのストックが腐食してしまっても、近所でミカンの葉が調達できるので安心だが、野外採取したカラスザンショウに卵が産み付けられていたようだ。
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2016年10月21日

ゴマダラチョウの幼虫調査は金木犀の香りを楽しみながら

 ジャコウアゲハの生息地のすぐそばにある児童公園で、ゴマダラチョウの幼虫を再確認。
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驚いたことに、まだ体調1cmていどの若齢幼虫もいる。
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ゴマダラチョウの母蝶は、木陰となったエノキの幼木を好んで産卵するようで、日がよくあたる大きめのエノキに幼虫の姿はなく、
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そのそばでは金木犀がいい香りを放ち、サンゴジュのたわわに実る赤い実が美しい。
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ジャコウアゲハの幼虫がまだいた

 ジャコウアゲハ Byasa alcinous の生息地にまだウマノスズクサがあるのかと見に行くと、いきなりボーリング工事の櫓が目に飛び込む。
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加古川とは反対側の土手斜面へのボーリングで、何が目的なのかが気になるので作業中のおじさんに尋ねると、加古川の水位を調査するためだと笑顔で教えてくれる。
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土手の自動車道路沿いはまだ除草がされていなく、あらためてウマノスズクサのある周辺を丁寧に見直して回ると、前回、よく調べたはずなのに見落としていた幼虫が3個体も見つかる。
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最後に見つけた幼虫は、終令なのかどうかかなり小さい個体なので、ウマノスズクサを多めに採取する。
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今回の調査過程でも、乾燥死した蛹が2個みつかり、
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こうした探索調査を一人だけでするには見落としが不可避だと痛感。

posted by クジャクチョウ at 19:17| Comment(0) | 日記

ハートマーク

 ゴマダラチョウの幼虫を観察中のエノキ葉陰に、みごとなハートマークを発見。
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「カメムシ ハート」という複合検索ですぐにエサキモンキツノカメムシという名前が見つかるから、かなり有名なカメムシらしい。
posted by クジャクチョウ at 12:06| Comment(0) | 日記

2016年10月19日

この差は何?

 ジャコウアゲハ Byasa alcinous の前蛹が、1個体は尾端の固定が外れたにもかかわらず、しっかり立派な蛹へと脱皮している。
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一方、飼育最後となったミヤマカラスアゲハ Papilio maackii の前蛹は、一見何の問題もないように思えたというのに、実に5度目の脱皮失敗となっている。
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前日までの完璧にみえる前蛹の状態からはとても想像できないこの脆弱さは、いったい何だろうか。
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唯一考えられるのは、北海道ではキハダで育つところを、カラスザンショウという代用食で飼育したという点だが、本州以南ではカラスザンショウでも自然発生をしているわけで、さらにいえば、長野県産や兵庫県産の幼虫に代用食として野外では利用されないコクサギを与えても、問題なく成虫にまで育つことを自身で経験しているだけに、理由がわからない。
posted by クジャクチョウ at 07:29| Comment(0) | 日記

2016年10月18日

シルビアシジミの生息地へ

 野焼きが実施されて一時ミヤコグサが激減した田園地帯の土手へ、シルビアシジミの様子を見に行く。一転曇り空となって小雨もぱらついた午後、雑草が青々と茂るすきまにミヤコグサがちらほらとみられる状況下、シルビアシジミのオスが複数頭飛び回っている。雲が厚くなった段階で休憩に入った個体はたぶんメス個体。
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薄日がさすと、オス個体が翅を全開にして太陽光を受け始めるので急ぎ撮影記録を撮る。
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その後、飛び回る個体を追いかけていると、ツリガネニンジンで吸蜜している個体にちょっかいを入れたりするが、撮影記録はまったくフォーカスが合っていなく、ハギの花にやってきて吸蜜するウラナミシジミもビデオ撮影をしたのにピンボケで採用できず。土手斜面ではツマグロヒョウモンのメスが産卵場所を探しているかのようにヒラヒラと飛び、モンキチョウも忙しく飛び回る。すばしっこくとぶのは小さなチャバネセセリで、おとなしくじっとしているきれいなベニシジミの姿をとらえて退散。
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posted by クジャクチョウ at 16:55| Comment(0) | 日記

ジャコウアゲハも順調に前蛹化

 ウマノスズクサが刈り取られる前に野外から回収したジャコウアゲハの幼虫が、5個体中4頭が前蛹となり順調。取り込んだ食草も残る1個体の飼育には十分足りる。
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蛹となればあとは乾燥しすぎないように注意した管理で越冬させることとなる。
posted by クジャクチョウ at 09:09| Comment(0) | 日記

ミヤマカラスアゲハの飼育最終段階

 北海道産ミヤマカラスアゲハの飼育で、最後の幼虫が前蛹となり一段落。
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アゲハが1頭混じった20頭の中令幼虫の飼育を任されて、精一杯の世話をしてきたが、まさかのウイルス死や、前蛹から蛹へという期待の段階で脱皮に失敗した複数例の発生は過去に経験のない想定外の事態で困惑した。目の前で前蛹からの脱皮が始まった際には、まさに祈るような気持ちで脱皮の進行を見守り、
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無事に最後まで脱皮が進んで蛹の全容をみせてくれるとほっとする。ここまでドキドキハラハラで蛹化脱皮の成功を応援したことは初めての経験。
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ところで、無事に蛹となった個体の中になぜか2頭の黒ずんできた蛹があり、過去の経験ではこの黒変は羽化ではなくて病死に向かう前兆だとおもわれ、本当に悲しくなる。
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それだけに最後の前蛹個体にかける期待はいっそう大きくなる。
posted by クジャクチョウ at 08:26| Comment(0) | 日記

2016年10月16日

高砂公園でサプライズ

 なかなか止まらないキチョウを追いかけて、ツマグロキチョウではなくキタキチョウだと分かってがっかりした直後、クスノキの葉裏に静止するみなれない昆虫のおなか部分が目に入る。そっと覗いて確認すると、なんとオオキンカメムシ。
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中学校1年の秋に、理科担当の恩師が連れて行ってくれた室戸岬の海岸林で、越冬準備に入ったオオキンカメムシの大集団をみて以来の観察だ。越冬できる地域分布は限られていて、このような熱帯系のカメムシが高砂公園までやってくるとは想定外。生息地では冬季に数十頭が集団を形成して越冬することで有名なカメムシが、ただの1頭だけで高砂公園にやってきたその経緯が知りたいが、手を差し伸べると垣根の茂み内へと落下して身を隠そうとする。拾い上げて垣根の葉っぱ上へと止まらせようとしたところ、いきなり飛んで行ってしまい、手のひらにカメムシ臭気は残っていなかった。
posted by クジャクチョウ at 18:24| Comment(0) | 日記