
オオムラサキが来る気配はなく、大阪ナンバーの赤い車から降りて汗をぬぐっている男性と話をすると、キマダラモドキを目的にやってきたが、スレ個体を1頭見ただけで、もう帰るとのこと。
笹竹が茂る部分にチョウの気配があり、近づいて確認するとヒカゲチョウ。

きれいなイトトンボが静かに飛んでは止まる動きをみせ、名前をあとでしらべるつもりで撮影しておく(帰宅後のWeb検索ではまだわからない)。

路傍の笹竹が多い場所を探索して歩くと、いきなり大型のキマダラモドキが飛び出し、目の前で開翅姿勢をとってくれた時点できれいな♀だとわかる。急ぎビデオカメラを準備したが、せっかちな彼女はすぐに飛び立ち、筆者の身体周りを飛んだあと林の奥へと姿を消してしまう。♀に特有の翅表の大きな眼状紋の並びは脳裏にだけ記憶として残る。
オオムラサキやキマダラモドキが好んで集まる豊かな樹液食堂を提供していた複数のコナラの樹が、スズメバチが子供たちに危害を加えるおそれがあるという、あまりに短絡的で実態をしらべもしない公園管理者が2年前にすべて根元から切り倒すという情けない事件があって、今年もその周辺を確認しに行ってみたが、やはりチョウもその他の昆虫の姿もまったくみられない。トイレタイムのあと、駐車場のそばでキマダラモドキの飛翔2個体を目撃するが近くにはとまることなく姿が消え、珍しく開翅状態でじっとしているジャノメチョウがいるのでゆっくりと撮影させてもらう。

カナブンたちが集まっていた樹液周りで昼食をとりながらオオムラサキを待ってみようと、最初に立ち寄った場所へと戻ると、遠目に例の樹液近くにオオムラサキがやってきているのがわかる。まずはビデオ撮影記録をとってから、

ゆっくりと下からネットを近づけ、オオムラサキにネットの中へと静かに落ちてもらう。期待通りの♀で、佐用町一帯には後翅肛角部の桃紅色が白くなったスギタニ型が混在しているのだが、捕獲個体は通常型。
このあと、ひらひらと舞い降りてきたアカシジミを撮影し、

ウグイスの鳴き声を聴きながら二度目となるジャノメチョウの開翅個体を撮影。

期待した例のキマダラモドキの♀との再会は果たせず、ムラサキシジミがアラカシの新芽に産卵をしている場面を記録。



再び樹液食堂へともどると、新たなオオムラサキが元気よく滑空をしながら2・3回の旋回飛翔の後、別の樹肌にとまる。そのまま根元近くまで移動する様子をみていると、そこにも樹液が出ているのか、翅の開閉を繰り返しながら吸蜜し始める。笹竹の葉が邪魔になるが、確認できる翅表の輝きは間違いなく♂で、前翅がいくらか傷んでいるので撮影記録をとるだけ。


少し開けた草むらでV字開翅姿勢をとるジャノメチョウのサービスを受け入れる。

予想より早くオオムラサキの♀が確保できたことから、クロシジミが本当に絶滅したかどうかの確認に行く。
キジョランの小生えを1株採取した際に、ズボンの内部に違和感をおぼえてめくるとヤマビルが潜り込んでいてびっくり。素早く手で払い落し、車外でなんとか退治したが、吸血される寸前で気づいたこととなって助かる。もっとも後期高齢者とは知らずに潜り込んだものの、この血はまずくて吸えない、と躊躇していたのかもしれないな、と妻と大笑い。
クロシジミが棲んでいた雑木林一帯を約30分探索したが、クロシジミの出現はなく、この場所ではたぶん初記録となるウラナミジャノメの♀を確認して撮影記録をとる。


