2020年06月25日

約1年がかりの研究テーマ

 6月15日、翅裏面の鉛色鱗粉が特別に発達したヒメヒカゲの♀変異個体と再会を果たし、変異が左右対称に発現していることを確認した。
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そのあと、すぐそばのコイヌノハナヒゲでヒメヒカゲの卵8個が確認でき、変異♀による産卵の可能性を考え、回収して飼育することに決めた。この♀から直接採卵することも考えたが、実際に交尾済みかどうかわからない♀を連れ帰ることは躊躇された。しかし、もしも交尾済みでなくても複数の♂と同居させれば交尾を期待できると思いなおし、結局、元気な♂5個体とともに連れ帰り、鉢植えのショウジョウスゲを覆うようにかぶせた吹き流し内で自由に飛べる形にして様子を見た。実際、期待通りに元気な♂がお尻を曲げて♀に交尾を迫る場面が目撃できたが目の前で交尾することはなかった。それでも、2日間の観察中にこの♀はショウジョウスゲに9個も産卵をしてくれていた。
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これらの卵が有精卵であるかどうかは孵化するまでわからないのだが、♀が弱らないうちにと6月17日に5♂とともに現地へと戻した。
 産み付けられた卵を倍率10倍のルーペを使って詳しく見ると、卵の形がやや歪んで丸くないものもあって、有精卵なのかどうか不安も感じたが、
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美しく丸みを帯びて輝く卵には大いに期待が持て、
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産卵から7日が経過した6月23日、淡褐色に変化する卵がみられ、9日目の本日(6/25)、待望のヒメヒカゲの幼虫が孵化してきた。最初の食事となる卵殻をきれいに摂食した後、ショウジョウスゲの緑の葉っぱ上に目立つ形でとどまる個体もいれば、
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保護色となる葉先が枯れた部分へと移動する個体も観察でき、
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ビデオカメラのレンズ部分に拡大ルーペを添える形で可能な限り鮮明な映像記録をとった。
 今回の採卵飼育の目的は、母チョウに発現した変異:鉛色鱗粉の高度な発達が、その次の世代にも発現するのかどうかを知ることで、来年の5月に羽化する個体をみるまでその結果は分からない、まさに長期戦の研究テーマである。
posted by クジャクチョウ at 19:12| Comment(0) | 日記

自然観察ノート