ヒメヒカゲの発生状況は、確信犯的採集者に情報を与えるため公表を控えてきたが、♀による産卵が十分進んだとみられ、マーキング対象の新鮮個体も減少してきたことから、今年最初のブログ記載とする。 これまでに観察できていない早朝のヒメヒカゲ生息地の様子を見る目的で、現地到着は7時15分。
期待するのは朝露を吸汁するヒメヒカゲだったのだが、そのような個体は全く観察できず、ときどき太陽が顔をだしても自発的に飛びだす個体があまりに少ないのは想定内。不思議なのは、飛び出してくるのがほとんど♀だということで、期待した朝露は残っているが、吸汁する個体には出会わない。

♂は早起きが苦手なのか、なかなか飛び出してこない。ネットで捕獲して本日初めて2-1と書き込んだ個体は、その記録をとりたくて近づくとすぐに飛び逃げ、しかも数字を書き込んだ側へと回り込む動きで再び飛び逃げてしまう。

手前に草がかぶらないとまり方を待とうなどとぜいたくを言っている場合ではなく、とにかく撮影記録をとっておく。できればすべてのマーキング個体の記録をとっておきたいのだが、放したとたんにすぐには追いかけられない遠くまで一気に飛び去る個体もいる。当のヒメヒカゲの側で考えれば、まずはいきなり網に閉じ込められ、次にはピンセットで翅を抑えられ、何をされるのかと思えば赤マジックで数字を書き込まれる。次はなんだ?と思ったところでなんとか解放されたが、もう二度とこんな目にあいたくはないからできるだけ遠くへと飛び逃げよう、となる。
当方としてもできれば美しい翅を汚すのは避けたいのだが、環境保全活動をしている生息地でなおかつ私有地だと知っていながら乱入して採集をするとんでもない輩を排除するために心を鬼にして継続している。マーキングに意味があると感じることとして、5月28日に赤ポチを入れた個体に翅がほとんど傷んでいない状態で再会できるのはうれしい。二度目となるが、以降の行動を知る目安として2-4と書き込んでから撮影記録をとろうと接近すると、すぐに翅を開閉して見せてくれる。

昨日(6/01)マーキングをした個体にも出会える。

これらの調査中に今まで気づかなかったヤマトキソウ(Pogonia minor兵庫レッドデータブック:Cランク)が2か所に分かれて咲いているのがみつかる。

ヒメヒカゲとは色の違いですぐにわかるウラナミジャノメも飛び出してくる。

本日の朝早い時間帯の観察数をこれまでの10時以降の個体数と同等に比較はできないが、可能な限り♂の数も調べておく。そのために草むらを歩く過程で、足元近くで休憩していたと思えるウラギンスジヒョウモンを驚かせて飛び立たせてしまうが、幸い、ビデオ撮影ができそうな場所にとどまってくれる。その様子をまずは離れた位置から確実に記録し、

次いで少しずつ近づいていくと、ゆっくりと翅の開閉動作をし始める。その動きをできる限り手振れしないようにとズームアップ撮影で記録する。


朝早くやってきて得られた想定外の成果だ。次いで、5/28日に赤ポチを入れた新たな個体が、こちらも新鮮なままでいる様子を記録。

約1時間の調査を終えようかという段階で、裏面の褐色鱗粉が濃いヒメヒカゲの♂がいるので接近してよく見ると、前翅の眼状紋がこれまで見たことがない形となっているのに気づく。

ヒメヒカゲの眼状紋に変化が多いのはよく知られているが、こうした撮影画像だけで十分その特徴を記録として残すことができる。さらにいえば、このような斑紋変異は学術的には重要ではないとされていて標本として並べ比較する必要はさらさらない。
posted by クジャクチョウ at 23:30|
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