
その後、次々と吸蜜しに来るのは新鮮度が落ちた♂ばかりで、それらの記録をとっていると、いつの間にか♀がやってきており、土手の方へと飛んでいく。本日訪問の目的は母チョウによる産卵状況の確認であり、すぐに公園から土手方面へと移動。ウマノスズクサが広範囲に生育した状況下、産卵にやってきている♀が3個体。翅が白っぽく見える個体から、黒鱗粉が発達した個体などいくらか違いがみられ、できるだけきれいな♀に狙いを定めて飛翔を追ってみる。平坦部にもウマノスズクサが育っているのに、母チョウは土手斜面のウマノスズクサへの産卵を好むようで、筆者はビデオ撮影をしながら滑りやすい土手斜面で足場を確保しつつ飛翔を追って行ったり来たりするはめに。


母チョウは産卵にかなりのエネルギーを使うとみえ、途中で翅を広げて休憩タイムをとる個体も見る。広畑正巳・近藤伸一共著の「兵庫県の蝶」(2007)には”食草に幼虫をはなさなければ成虫は飛来しない”という正しくない記述があるが、本日の産卵例では、すでに孵化したばかりの初令幼虫がいる葉裏への産卵や、お尻をまげて産卵を終えた後で確認すると、ウマノスズクサの葉のすぐそばに位置していたと思える他の植物の茎に産み付けた卵が確認できる。


母チョウはウマノスズクサの葉っぱのへりに脚をかけて頭はその上側しかみえていなく、感覚だけで産み付けるために、稀にこのような的外れの産卵も起こるのだろう。