2018年07月02日

オオムラサキ:樹液食堂が激減してかわいそう

6月半ばまでならヒロオビミドリシジミやウラジロミドリシジミが観察できるナラガシワのある場所を横目に走り、最初の観察ポイントを調べると、樹液が枯れきって独特の香りは全くなく、もうここは観察対象ではないと諦める。2016年に竹内さんたちがスギタニ型♀を観察した樹液のある大木が突然切り倒され、しかもあとで新芽を出して再生できるような切り方ではないのが腹立たしいが、2015年に筆者が別の場所に新たな樹液食堂をみつけてフォローしてきたところへと足を早める。高い位置から見下ろす角度でオオムラサキのきれいな輝きを撮影記録しようと北岡さんも重たい脚立を担いでやってくる。ところが、樹液がない、いや樹液の出ていた樹木が2本とも切り倒されて見えないのだ。確認できるのはここでの切り方もあとで新芽も出ない路面から20cmも残されていない根株だけ。樹液に来るスズメバチが自然観察目的で訪れる子どもたちに危険を及ぼすから、という話を聞いたことがあるが、樹液に集まるスズメバチは大群であることもなく、人に危害を加える可能性はきわめて低い。樹液にはどのような昆虫が集まり、いい場所どりのために昆虫同志でどのような奪い合いを展開するのか、例えば、オオムラサキとスズメバチはどちらが強いのか等、自然の生きた姿を観察できる好ましい例はそれほど多くはないわけで、いったいここの管理人はどういう考えでこのような暴挙を繰り返すのか、理解に苦しむ。
 ここの領域で最も歴史が古い樹液食堂は残っているが、例の独特の匂いはうすく、この日にやってきていたのはジャノメチョウがただの1頭。
vs180702-010.BMP
樹液には常連であるはずのカナブン、ヨツボシケシキスイ、クワガタ類の姿はまったくなし。オオムラサキが雄大な滑翔で近くを飛ぶのがみえても樹液にやってくることはない。残る樹液ポイントはあと1か所。わずかの望みをいだいて訪れ、車から出たまさにそのとき、目の前でオオムラサキの♂♀が絡みながら飛ぶ。すぐに樹液のある大木の幹にとまっていよいよ交尾かと期待するが、
vs180702-012.BMP
撮影目的で近づきすぎたのか、この樹液まわりにとどまることなく絡み合い飛翔のまま樹林奥へと消えてしまう。しばらくしておそらく別個体だと思える♂が近くを飛ぶが、われわれが近くにいるせいか樹液へとはやってきてくれない。比較的きれいな状態を保つウラナミアカシジミが飛び出してコナラ葉裏にとまるのを撮影してみるが証拠記録でしかない。
vs180702-009.BMP
オオムラサキの樹液飛来には時間をあける必要があり、最古の樹液ポイントを再チェックしに行っても訪問者がいないことを確認しただけ。その途上、シロツメクサで蜜を吸う翅表が黒くなったベニシジミにもカメラを向け、
vs180702-014.BMP
路面のどこかで休んでいたのを驚かせて飛び出し、なぜかとまった直後だけ翅の開閉をしたあとすぐに閉じて二度と翅表をみせてくれないジャノメチョウを追いかけて、翅表をみせてくれた瞬間の記録をとる。
vs180702-015.BMPvs180702-016.BMP
 時間をあけて戻った樹液食堂には期待通りオオムラサキの♂がやってきている。手ブレ映像とならないように、ビデオカメラを三脚に固定してオオムラサキの動きをしっかりと記録する。
vs180702-018.BMPvs180702-019.BMPvs180702-020.BMPvs180702-021.BMPvs180702-022.BMP
後翅に若干の破れや傷みがある個体だが、少しずつ場所を変えるそのたびに何度も翅の開閉を繰り返してみごとなムラサキの輝きをみせてくれる大サービスがありがたく、後翅肛角部の赤桃色もとても美しい。この♂以外にも近くまでくる個体をみるが、結局樹液を楽しんだのはこの♂だけで、いったんどこかへと飛び去る。笹竹のあいだで寝床の準備を整えるヒカゲチョウを撮影記録し、
vs180702-034.BMPvs180702-035.BMP
昼食を準備していない北岡さんがコンビニへオニギリを買いにいくのに同行するのもいい時間間隔あけとなり、戻るとやはり先ほどと同じ♂がやってきている。
vs180702-031.BMP
vs180702-033.BMP
さすがに同じ樹液では飽きるのか、10数メートル離れたクズのマントまで飛んでそこで休憩に入る。
vs180702-037.BMP
望遠モードで一応記録をとってみるが、翅表のムラサキ色はうすくしか見られない。このあと16時まで粘ったが、樹林の高い位置で飛ぶオオムラサキを目にできても樹液へときてくれることがなく、京都から車できてくれた北岡さんの帰りのこともあるため撤収。
posted by クジャクチョウ at 11:52| Comment(0) | 日記

クロシジミの生息調査は空振り

西播磨地区のクロシジミが生息する場所へ、ギフチョウ・ネットの竹内さん、北岡さんと調査に遠征。8時半に加古川を出て現地には9時40分に到着。林道を少し進んで仰天。雑木林の半分ほどが伐採して切り開かれ、錆がめだつブルドーザーとショベルカーが置き去りとなっているのだ(現地が特定されるため映像記録はなし)。林道沿い1m程は切られずに残っているため、クロシジミの発生樹が犠牲になったのかどうかはわからないが、全く影響がないとは思えない惨状を目にしながら、これまでにクロシジミが飛び交っていたあたりを中心にくまなく探してみるも、観察できたのはコナラの高い位置の葉上にとまるムラサキシジミ、2頭で絡み飛翔を繰り返していたオナガアゲハ、珍しくはないキンモンエダシャク、
vs180702-008.BMP
木の葉上でじっとして動かないルシシジミ、
vs180702-001.BMP
いきなり現れたホソバセセリ、
vs180702-002.BMPvs180702-003.BMP
ウツボグサで蜜を吸うツマグロヒョウモンの♀、
vs180702-004.BMP
サルトリイバラの新葉の食痕を目当てに裏返すと見つかるルリタタテハの幼虫(持ち帰りはせず)、
vs180702-005.BMP
例年より数が少ないジャノメチョウ、名前がわからないチョウに似た飛翔で飛び交い、葉裏にペタリととまって結局翅表記録が曖昧でカレハガの一種だとしかわからない蛾、
vs180702-039.BMPvs180702-047.BMP
およびここでは初観察となるキマダラモドキという具合。このあとオオムラサキの観察地へと向かう途上でテングチョウが路傍のコンクリート壁に染み出すたぶんミネラルを求めてまるでハエのごとくに群れ飛ぶ光景を目にし、さらにはわざわざ立ち寄ったクロツバメの生息地でムラサキシジミの♀がいて、
vs180702-007.BMPvs180702-006.BMP
映像記録がとれた種だけを示しておく。
posted by クジャクチョウ at 11:37| Comment(0) | 日記

2018年06月28日

ジャコウアゲハ:受難の季節

6月に入って加古川沿いの県道周りで除草作業が始まり、ジャコウアゲハの生息地でもウマノスズクサが生育している領域の一部が一気に刈り取られるという影響が出た。
180628除草1.jpg
実は、6/18に生息地一帯で発見できた蛹40個体をすべて回収し、羽化するごとにこの現地で放しているのだが、土手裾野にスカンポに混じって繁茂していたウマノスズクサが完璧に刈り取られてしまったのは打撃が大きく、おそらく新たに産みつけていたに違いない卵や、幼虫が犠牲になったと思われる。土手上にあがって県道沿いをみれば、
180628除草0.jpg
兵庫県管轄の道路際1mという範囲の除草が終わっており、
180628路傍2.jpg
幸い土手斜面上部のウマノスズクサの多くが助かっていて幼虫もみつかる。
180628larva.jpg
近日中に国土交通省管轄のノラニンジンが多い斜面の除草が実施されるはずで、目につく幼虫5個体を回収して道路際のウマノスズクサに移してやったが、ブッシュ内まで立ち入って探してはいない。
180628larvae.jpg
180628larvae1.jpg
こうした調査活動をしている間にも、まもなく食草が刈り取られる恐れがあるという状況を何も知らない3個体のメスが産卵目的の飛翔を繰り返しているのがなんともやりきれなく、できるだけ道路際に産卵してほしいと願うしかない。
180628メス飛翔.bmp
また、草むらで愛を育んでいた交尾ペアを驚かせて飛び立たせてしまったが、児童公園のヒバの高い位置へと避難するのを見届け、最後にその様子を記録。
180628交尾1.bmp180628交尾0.bmp
ところで、道路際に残るウマノスズクサが国土交通省による次の除草作業で無事に残る保証はどこにもなく、担当部署にウマノスズクサが茂る部分だけは残してくれるようにQ&Aコーナーで要望を入れておいた。
posted by クジャクチョウ at 13:41| Comment(0) | 日記